第一回目は、生まれも育ちも月潟、しかも元月潟町役場の助役を務められた、「月潟ガイドの会」代表の棚橋敏男さんに、月潟の伝統芸能、角兵衛獅子を中心にオススメの観光スポットをご紹介いただきました!
①月潟駅
1999年まで電車が走っていた駅で、当時のままの駅舎と、オレンジと緑の塗装を施された通称「かぼちゃ電車」が現在も保存されています。
除雪用のラッセル車、貨物車、客車の三両編成で、私も高校時代通学で利用したし、特に白根の凧合戦や月潟のお祭りの時はお客さんがたくさん乗っていました。廃止が決まった時は保存の声が強くて、県外からも陳情に来た人がいたほど愛されていた電車です。駅舎内や電車内には入れませんが、イベント時など不定期ですが開放することもありますよ。
駅の脇には、故美空ひばりが1951(昭和26)年に、映画「とんぼ帰り道中」で歌った「越後獅子の唄」の歌碑も立っています。
②角兵衛獅子地蔵尊
旧月潟駅舎隣にある、角兵衛獅子たちが芸の上達と旅巡業の安全を祈願していたスポットです。
かつて角兵衛獅子の上演団体は何十とあり、皆一年中全国に巡業に行き、6月の24・25日のお祭りの時だけ月潟に帰ってきて、この地蔵尊に奉納演技をし、一年の芸の上達を披露していました。
③郷土物産資料室(角兵衛獅子)
歴史学者の関本健太郎先生が集めた資料を中心に展示していますが、角兵衛獅子は本当に資料がわずかしか残っていません。先生曰く「ピラミットやスフィンクスの謎は解けても、角兵衛獅子の謎は解けない」とのこと(笑)。源義経が柏崎で角兵衛獅子の一団に出会い、書いて渡したと言われる通行手形も展示してあります。
角兵衛獅子はもともと子どもに芸を覚えさせて稼がせたという、ネガティブな歴史があります。それが2019年には国民文化祭で天皇皇后両陛下の前で披露させていただくなど、今では大切な伝統芸能であり、大事に育てていきたいとみんなが思っています。
外には角兵衛獅子を描いたマンホールもあるので、ぜひ探してみてください。
④月潟類産ナシ
上総国(今の千葉県)から取り寄せられた樹齢200年を超える梨の木で、昭和16年に国の天然記念物に指定されました。果樹でこれほど長く生きて立派な実をつけている木は他にありません。川の氾濫により肥沃な土地だったこともあり、この木から近郊の梨栽培が始まりました。
昭和初期には天皇に献上されたこともありますが、梨そのものの味はあまり美味しくない(笑)。でも、月潟の菓子店マスヤ製菓さんがこの果汁を使って作った羊羹は美味しいので、手軽なお土産にオススメです。白い花は4~5月、実は9月ごろ、立派な木の全貌を見るなら葉が落ちた10月から11月にかけてが見頃ですよ。
⑤満徳寺
今まで紹介したスポットから少し離れますが、近年特に私が注目している浄土真宗のお寺です。阿弥陀如来像が祀られており、2019~2020年にかけて屋根を吹き直したりして伽藍はピカピカです。
5048巻のお経を収めている蔵「経蔵(きょうぞう)」が二重の塔という珍しい造りで、内部にあるお経が入っている回転式の「輪蔵(りんぞう)」を回すことで、すべてのお経を読破したと同等のご利益があると言われています。だからツアーでご紹介すると参加者の方に人気ですね(笑)。
過去に檀家さんに支えられたことを恩義に感じ、住職が代々非常に真面目にお勤めされているので、私は檀家ではありませんが大好きなお寺です。
「月潟ガイドの会」は私を含め7人で活動しており、なかには月潟の昔話に詳しいメンバーもいます。今は新型コロナウイルス感染症流行のためガイド活動は難しいですが、またご案内できる日を心待ちにしています。
【月潟ガイドの会】
『月潟ガイドの会』の皆さんは、角兵衛獅子の歴史や、中ノ口川の水運で栄えた各所などの見どころを案内しています。平成29年から本格的にガイドを始め、現在7人のメンバーで活動。希望時間により、コースの組み立てもしています。
利用料:500円/人
予約:要事前予約
お問い合わせ:月潟農村環境改善センター 電話:025-375-5500
取材協力:月潟ガイドの会 代表 棚橋敏男
ライター:丸山智子
撮影:内藤雅子(Sunday Photo Studio)