第5回は南区の中でも北に位置する旧味方(あじかた)村へお邪魔しました!
ご登場いただいたのは、14代300年にわたり続いた名家・笹川家の自宅・旧笹川家住宅の管理人をかつて務め、地域に続く伝統芸能・吉田家神楽を伝承する家の子孫として普及にも力を入れている吉田悦郎さんです。
今回は、味方の魅力にはなくてはならない旧笹川家住宅、そしてその周辺のナビゲートをお願いしました。
①旧笹川家住宅
旧味方村にとって、笹川家は特別な存在です。江戸時代に8つの町村を仕切り、8,000石を束ねていた大庄屋で、大名になるのが1万石からだったのでその凄さは伝わるのではないでしょうか。建物は文政2年に一度火災で焼失してしまい、7年後に再建され、現在国の重要文化財になっています。焼失しなければ住宅として日本で一番古い建物になるはずでした。
1000坪の土地に広がる屋敷は、28畳の大広間をはじめ見所がたくさんあり、タイムスリップしたような感覚になります。四季を感じられる風情もまた素晴らしいものがあります。
私が着ている法被には笹川家の家紋が入っていますが、これは武田家の家紋なんです。武田信玄の弟の子供が移り住んで笹川家を興した家といわれており、本当であればすごいですよね。ロマンがあります。
訪れる際は是非、私も登録している旧笹川家住宅の無料ボランティアガイドに事前に予約を入れておいてください。施設のことや歴史を詳しく知ることができるので、きっと見え方が変わりますよ。
②曽我・平澤記念館
旧笹川家住宅に隣接する「曽我・平沢記念館」は旧味方村出身の偉人を称えた記念館です。
平澤興博士は、脳解剖学の第一人者で京都大学の総長も務められた世界的権威。脳の勉強する人たちは平澤先生の研究したものを学んでいると言います。地域の小学校では「平澤興賞」という自主学習ノートを競う賞もあります。
曽我量深師は、「昭和の親鸞」と呼ばれ、浄土真宗を学ぶ人で知らない人はいません。仏教の専門学科を持つ大谷大学の学長も務められ、信仰と学問に生涯を捧げられました。生家は旧笹川住宅の近くにある円徳寺になります。
記念館ではお二人のお遺品や文献などを展示しています。建築も素晴らしく、まるでトンネルのようなアーチ型の通路や木をふんだんに使った開放的な設計など、空間も楽しんでいただきたいですね。
③吉田家神楽
私の曽祖父、吉田熊次が明治の中期に私財を投げ打って作った出雲系の神楽です。京都から道具を注文したり、三条の神楽に指導を受けに行って制作しました。
神話をモチーフにした18の舞があり、私が子供の頃は公園がある諏訪神社のお祭りが楽しみで、境内に前日からござを敷いて場所取りをして、親戚も集まり賑やかでした。ひょっとこが出てきたり、須佐之男命(すさのおのみこと)が大蛇に酒を飲ませて成敗する舞は盛り上がりますね。私も太鼓の演奏で参加しています。メンバーには大人もいますが、学校の協力も得ながら子供たちにも伝承していっています。
味方エリアのこと、少し知っていただけたでしょうか?
味方といえばどこまでも広がる田園風景も欠かせません。これほど遮るものがない田園風景はそうそうありません。いつでも四季折々の長閑で気持ちいい景色をお楽しみいただけます。
また、有名な「白根大凧合戦」ももともとは旧白根市と旧味方村の戦いでした(※2005年の大合併で両方とも新潟市になった)。そういった賑やかな祭りもあったり、味方は様々な顔を持っています。
白根エリアにはレンタサイクルもあるので、是非借りてみて味方まで足を伸ばしてみてください。自転車での味方トラベル、お勧めです!
取材協力:吉田悦郎(笹川邸ボランティアガイド)
ライター:丸山智子
撮影:内藤雅子(Sunday Photo Studio)